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行政不服審査法の概要
一般概括主義(第4条)
- 行政庁の処分については、第4条第1項の規定(例:国会法第121条で定める国会議員への懲罰)や個別法の規定により適用除外とされていない限り、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができる。
書面による教示(第41条及び第57条)
- 不服申立てをすることができる処分又は裁決をする場合、処分庁又は審査庁は、処分又は裁決の相手方に対し、不服申立てできる旨や不服申立先等を教示しなければならない。
行政不服審査法に基づく不服申立て
〔1〕処分についての審査請求(第5条)
- 処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。
- 上記に該当しない場合であって、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
〔2〕処分についての異議申立て(第6条)
- 処分庁に上級行政庁がないとき
処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき
上記に該当しない場合であって、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき
→処分庁に対して異議申立てをすることができる。
〔3〕不作為についての不服申立て(第7条)
- 法令に基づく申請に対し、何らかの処分等をすべきにもかかわらず、行政庁が相当期間内に処分等を行わないとき
→処分庁に対する異議申立て又は処分庁の直近の上級行政庁に対する審査請求をすることができる。
〔4〕再審査請求(第8条)
- 審査請求の裁決に不服がある場合であって、以下のいずれかに該当するとき
- 法律又は条例に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき
→法律又は条例に定める行政庁に対する再審査請求をすることができる。 - 審査請求をすることができる処分について、その処分権限を有する行政庁(原権限庁)がその権限を他の行政庁に委任した場合であって、委任を受けた行政庁がした処分に対する審査請求について、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき
→原権限庁が自らその処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対する再審査請求をすることができる。
- 法律又は条例に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき
不服申立ての方式(第9条)
- 原則として、書面により不服を申し立てる(他の法律又は条例で、口頭ですることを認めている場合は、口頭により不服を申し立てることも可能。)。
- 不服申立書は、正副2通を提出する(異議申立ての場合は、正本1通のみを提出。)。
不服申立書の記載事項
〔1〕処分についての審査請求(第15条)
- (必要的記載事項)
- 審査請求人の氏名・年齢(又は名称)、住所
- 審査請求に係る処分
- 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
- 審査請求の趣旨及び理由
- 処分庁の教示の有無及び教示の内容
- 審査請求の年月日
- 審査請求人等の押印
- (一定の事由に該当する場合の記載事項)
- 代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所
- 異議申立てをした年月日又は異議申立ての決定を経ないことについての正当な理由
〔2〕処分についての異議申立て(第48条において準用する第15条第1項及び第2項)
- (必要的記載事項)
- 異議申立人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
- 異議申立てに係る処分
- 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日
- 異議申立ての趣旨及び理由
- 処分庁の教示の有無及び教示の内容
- 異議申立ての年月日
- 異議申立人等の押印
- (一定の事由に該当する場合の記載事項)
- 代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所
〔3〕不作為についての不服申立て(第49条)
- 異議申立人又は審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
- 不作為に係る処分その他の行為についての申請の内容及び年月日
- 異議申立て又は審査請求の年月日
〔4〕再審査請求(第56条において準用する第15条第1項及び第2項)
- (必要的記載事項)
- 再審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
- 再審査請求に係る処分
- 再審査請求に係る処分があったことを知った年月日
- 再審査請求の趣旨及び理由
- 審査庁の教示の有無及び教示の内容
- 再審査請求の年月日
- 再審査請求人等の押印
- (一定の事由に該当する場合の記載事項)
- 代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所
不服申立期間
〔1〕審査請求期間(第14条)
- (1) 主観的審査請求期間
- 処分があったことを知った日の翌日から原則として60日以内(※異議申立てをしたときは、これについての決定があったことを知った日の翌日から30日以内)
- (2) 客観的審査請求期間
- (処分があったことを知らなかった場合であっても、)当該処分があった日の翌日から原則として1年以内
〔2〕異議申立期間(第45条並びに第48条において準用する第14条第1項ただし書及び同条第2項から第4項まで)
- (1) 主観的異議申立期間
- 処分があったことを知った日の翌日から原則として60日以内
- (2) 客観的審査請求期間
- (処分があったことを知らなかった場合であっても、)当該処分があった日の翌日から原則として1年以内
〔3〕再審査請求期間(第53条並びに第56条において準用する第14条第1項ただし書及び同条第2項から第4項まで)
- (1) 主観的異議申立期間
- 審査請求についての裁決があったことを知った日の翌日から原則として30日以内
- (2) 客観的審査請求期間
- (審査請求についての裁決があったことを知らなかった場合であっても、)当該裁決があった日の翌日から原則として1年以内
※上記期間のいずれについても郵送に要した日数は算入されない。
※「不作為についての不服申立て」については、期間制限なし。
※「不作為についての不服申立て」については、期間制限なし。
審理の方式(第25条)
- 書面審理が原則(※ただし、審査請求人等の利害関係者から申立てがあった場合には、口頭意見陳述の機会を与えなければならない。)。
- その他(証拠書類等の提出、参考人の陳述・鑑定の要求、物件の提出要求、検証、審査請求人等の審尋)
審査請求に対する裁決(異議申立てに対する決定・再審査請求に対する裁決についても同様)(第40条)
- 審査請求がされた場合、審査庁は、審査請求人が取り下げた場合を除き、以下のいずれかの裁決をする。
- 却下:審査請求が、期間経過後にされたとき、その他不適法なとき
- 棄却:審査請求は適法にされたが、本案審理の結果、審査請求に理由がないとき
- 容認(処分の取消し、撤廃又は変更):審査請求が適法にされ、かつ、これに理由があるとき
行政不服審査法(ぎょうせいふふくしんさほう、昭和37年9月15日法律第160号)は、事後における救済制度としての行政不服申立についての一般法(1条2項)として制定された日本の法律である。行政法における行政救済法の一つに分類され、行審法と略される。
概要[編集]
行政不服申立てとは、国民が行政機関に対して紛争の解決を求める法的な争訟手続である。つまり、「行政庁の公権力の行使」(処分)に対し、私人が「行政機関」に対して不服を申立てることを指す。この場合、私人は裁判所ではなく行政機関を相手として事後的救済を求める争訟を提起することになる。行政不服申立ては裁判ではないので、日本国憲法32条による裁判を受ける権利の対象とはならない。よって、その制度は政策によって変化する。
行政不服審査法の前身は、1890年に制定された訴願法(明治23年法律第105号)である。訴願法は、「租税及手数料ノ賦課ニ関スル事件、租税滞納処分ニ関スル事件、営業免許ノ拒否又ハ取消ニ関スル事件」等、列記主義の原則により不服申立てのできる場合を限定的に規定していたこともあり、この法律によって十分な救済が図られる内容とは言い難かった。
また、日本国憲法第76条2項後段は行政機関が終審を行うことを禁止しているが、反対解釈すれば前審を禁じてはおらず、裁判所法3条2項も行政機関が裁判所の前審として審判を行うことを認めている。このことから、行政不服審査法は不服申立てのできる場合を限定するのではなくできない場合を例外規定として設け、その他の処分・不作為についてすべて不服申立てができるとする一般概括主義の原則により構成されている。その他、訴願法と行政不服審査法を比較すると、当事者の手続的な権利の充実という面で大きな進展がみられる。
また、行政機関によるものでなく司法上の救済(行政訴訟)については行政事件訴訟法がその一般法として制定されている。行政不服審査法、行政事件訴訟法は、いずれも事後の救済制度であるが、事前の救済制度として行政手続法がある。行政手続法の制定されたのは1993年であるから、行政不服審査法の制定から約30年後となり、日本における行政救済法の制度は事後救済に偏重していたことがわかる。
なお、第169回国会(2008年)において、不服申立ての手続を原則審査請求に一本化することや、審理員による審査請求の手続、行政不服審査会等による諮問手続の設置、審査請求期間の3ヶ月への延長などを内容とする行政不服審査法の全部改正法案が内閣より、提出された。当該法案は、2度の継続審査とされた後、第171回国会(2009年)が2009年7月21日、衆議院解散による審議未了により廃案となった[1]。
行政事件訴訟との比較[編集]
不服審査は、行政事件訴訟と共に法定の争訟手続である。行政権の行使の違法性をめぐる紛争を解決して、国民の権利利益の救済を目的とする手続きである点で、不服審査と行政訴訟は共通している。
他方相違点として、不服審査では行政機関自身が争訟の裁断を行うのに対し、行政事件訴訟では裁判所が中立的で公平な第三者として紛争の裁断を行う。不服審査では手続が簡易迅速であると共に、処分の妥当性をも争えるのに対し、行政事件訴訟では手続きの対審性を保障し、当事者に口頭弁論を通して立証・反論の機会を保証する慎重な手続きを踏む。ただし、情報公開法18条は、開示請求決定に対する不服申立ては情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならないとし、審査の透明性を高めて公平性を確保する。
内容[編集]
行政不服審査法の目的は、簡易迅速な手続によって国民の権利利益を救済し、行政の適正な運営を確保することにある(1条1項)。国民の権利利益の救済とは、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為について、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての途を開き、国民の権利利益の救済を簡易迅速に図ることである。
不服申立ての概観[編集]
対象[編集]
不服申立ての対象となるのは行政庁による処分(その他公権力の行使にあたる行為も含む)である。しかし「処分」の具体的な内容が法によって規定されているわけではなく、解釈によって定まる。一般に、「処分」の概念は行政行為とほぼ一致するといわれている。この処分概念を巡っては従来から行政事件訴訟法における処分性論でも同様の論争が続いている。
「処分」には、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものが含まれる(2条)。
「処分」には、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものが含まれる(2条)。
また、行政庁が法令に基づく申請に対して期間内に応答しない「不作為」も不服申立ての対象となる。
行政不服審査法は申立ての対象となる処分や不作為を原則として限定していない。このような規定の仕方を一般概括主義または概括主義という。これに対して申立てのできる処分等を条文で列記したものに限定する方法を列記主義という。行政不服審査法が制定される以前に行政不服申立ての一般法であった訴願法はこの列記主義を採用していた。
概括主義の例外として不服申立てができない事項は、4条1項各号に挙げられているもののほか、行政事件訴訟法や独占禁止法など他の法令により規定されたものがある。行政不服申立てにおける一般法である本法は、特別法は一般法に優先するという法原則により地方自治法や公職選挙法が独自に定める不服申立て制度には適用されない。また、行政不服審査法に基づく処分も対象外とされている。
種類[編集]
審査請求中心主義が採用され、行政庁の処分に対する不服申立ては原則として審査請求によって行われる。
しかし処分に対する不服申立てであっても上級行政庁がない場合や法律によって異議申立てをすべきと規定されている場合には審査請求はできない。後者のように異議申立てが可能である場合にはまず異議申立てをし、それでも紛争が解決しない場合にのみ審査請求が可能であるという構成が採られている。これを異議申立前置主義という(第20条)。
異議申立てと審査請求は、一つの処分についてはどちらか一方の不服申し立てしか出来ないのが原則で、これを相互独立主義という。
- 第3条(行政不服申立ての種類)
- 「審査請求」「異議申立て」「再審査請求」の3つが第1項において規定されている。
- 処分をした行政庁のことを処分庁といい、不作為が問題とされる行政庁を不作為庁という(第2項)。
- 第4条(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
- 次の各号に掲げる処分、この法律に基づく処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、出来ない。
- 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によつて行われる処分
- 裁判所若しくは裁判官の裁判により又は裁判の執行として行われる処分
- 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得たうえで行われるべきものとされている処分
- 検査官会議で決すべきものとされている処分
- 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
- 刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行う処分
- 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づき、国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づき、これらの職員の職務を行う者を含む。)が行う処分
- 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行われる処分
- 刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するために、被収容者に対して行われる処分
- 外国人の出入国又は帰化に関する処分
- 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
- 4条2項は、1項の除外規定とされる他の法律で審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分についてそれらに代わる不服申立て制度を認める規定である。
- 次の各号に掲げる処分、この法律に基づく処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、出来ない。
- 第5条(処分についての審査請求)
- 審査請求とは、処分を行った行政庁(処分庁)や不作為に関係する行政庁(不作為庁)とは別の処分庁に対して行われる不服申立てである。原則として審査請求は処分庁の直近上級行政庁に対して行われる。処分や不作為に直接の関連をもたない行政庁が裁断するので、公平性が高いといわれる。また、第三者機関が審査をすべき行政庁(審査庁)として特に定められている場合もあり、そうした場合には公平中立な裁断が期待できる。
- なお、法定受託事務については都道府県の執行機関が行った処分に対しては所管の大臣に、市町村長(補助機関なども含む)は都道府県知事に、市町村教育委員会の行った処分については都道府県教育委員会に、市町村選挙管理委員会の行った処分については都道府県選挙管理委員会に審査請求ができる(地方自治法255条の2)。
- 第6条(処分についての異議申立て)
- 異議申立てとは処分庁や不作為庁に対して直接に翻意を求め、作為を促す不服申立てである。公平中立という観点からは審査請求に劣るが、紛争の当事者である行政庁に対して直接に改善を求めることになるので、迅速性と言う点では優れているとも言われる。
- 第7条(不作為についての不服申立て)
- 第8条(再審査請求)
手続[編集]
詳細は「審査請求」を参照
処分についての異議申立ては第45条以下に、不作為についての不服申立ては第49条以下に、再審査請求については第53条以下にそれぞれ規定があるが、それらの手続については審査請求の規定が準用されている。各制度特有の手続についてはその都度説明を加える。なお、これらの手続によっても紛争が解決しない場合には行政事件訴訟法に基づいて訴訟を提起し、司法審査(裁判所による裁判)を受けることができる。
- 第9条(不服申立ての方式)
- 書面の提出によって始まるのが原則である。この書面を不服申立書というが、これは異議申し立ての場合を除き正副2通を提出する。
- 第10条(法人でない社団又は財団の不服申立て)
- 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。
- 第11条(総代)
- 行政に関する紛争は当事者が多数となることも多い。そこで不服申立てをする者(申立人という)が多数の場合には、3名以内の総代を互選することができ、場合によっては互選を命じられる。
- 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。総代が選任されたときは、共同不服申立人は、総代を通じてのみ当該不服申立て行為をすることができる。
- 第12条(代理人による不服申立て)
- 不服申立ては代理人によって行うこともできる。
- 代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
- 第13条(代表者の資格の証明等)
- 代表者もしくは管理人、総代又は代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
- 代表者もしくは管理人、総代又は代理人がその資格を失ったときは、不服申立人は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。
不服申立ての受理・手続き開始義務[編集]
国民が行政機関を相手として救済を求めるために不服申立て手続きを発意(争訟を提起)しても、これを行政機関が受理しなければ救済手続きは実質的に開始されない。よって、不服申立てを不受理として門前払いすることは許されず、たとえ不適法な申立であっても処分庁または審査庁はこれを受理し、不服申立ての手続きを行わなければならない。このような処分庁または審査庁の不服申立ての受理・手続き開始義務の根拠は、次の点にある。
- 法の趣旨
- 行政不服審査法の法律の趣旨は、「国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図る」ことを主要な目的としており、不服申立てを不受理とする処分を行うことは法律の趣旨に反する。
- 手続開始義務を前提とした制度
- 第14条(審査請求期間)
- 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内、異議申立て前置の場合は当該異議申立ての決定を知った日の翌日から起算して30日以内にしなければならない(第1項)。
- 審査請求は、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、正当な理由がない限りできない(第3項)。
- 処分がその名宛人に個別に通知される場合においては、「処分があったことを知った日」とは、その者が処分があったことを現実に知った日のことをいい、処分があったことを知り得たというだけでは足りない、とするのが判例である。
- 処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に告示される場合においては、「処分があったことを知った日」とは処分の効力を受ける者が現実に処分の存在を知った日ではなく、告示があった日をいう、とするのが判例である。
- 第15条(審査請求書の記載事項)
- 審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
- 審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
- 審査請求に係る処分
- 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
- 審査請求の趣旨及び理由
- 処分庁の教示の有無及びその内容
- 審査請求の年月日
- 第17条(処分庁経由による審査請求)
- 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。
- 第20条(異議申立ての前置)
- 審査請求は、当該処分につき異議申立てをすることができるときは、異議申立てについての決定を経た後でなければ、することができない。
- 処分庁が、処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかつたときは、直ちに審査請求できる。
- 前置の目的が処分庁に再度判断をさせることであるから、この決定には不適法を理由としての却下は含まれない。
- 地方自治法206条
- 地方自治法238条の7(行政財産を使用する権利に関する処分についての不服申立て)
- 第21条(補正)
- 審査請求が不適法であつて補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。同条は異議申立てについて第48条において準用、再審査請求について第56条において準用されている。
- 補正命令の趣旨は不服申立てについて、それが不適法であっても補正することができるものであるときは、その補正を命じなければならないところにある。換言すれば、たとえ不適法な不服申立てであっても、これを受理したうえで補正することができるものであるときは、その補正を命じることを処分庁または審査庁に義務付けているのである。
- 行政庁は申立てがあった場合には何らかの応答をすべき義務を負う。申立てが要件を満たさない場合には却下し、要件を満たした適法な申立てについては審理し、裁決・決定を行う。これを要件審理という。
- 具体的には、行政庁による処分または不作為が存在するか、当該不服申立ては当事者能力と当事者適格のある者が、その不服申立てを処理する権限のある行政庁に対して、不服申立て期間内に行われたものであるか、の確認である。たとえ申立てが要件を満たさない不適法なものであっても、補正が可能であれば行政庁は補正を命じなければならないのは前述の通りである。補正を命ぜずに申立てを却下したのなら、その却下裁決は違法となり、結果取消うべき瑕疵を帯びる。
- 上記のように、不服申立てには一定の申立て期間が定められている。これを徒過した場合、もはや不服申立てをすることが不可能となる(行政行為の不可争力を参照)。
- 第22条(弁明書の提出)
- 審査請求の場合、審査庁は処分庁に対して弁明書の提出を求め、争点を明らかにすることができる。
- 弁明書は、正副2通提出し、副本を審査庁が審査請求人に送付する。ただし、審査請求の全部を容認すべきときは、この限りでない。
- 第23条(反論書の提出)
- 弁明書が提出された場合、これの副本が申立人に送付される。申立人はこれを受けて反論書を提出することができる。
- 第24条(参加人)
- 審査庁に許可を得て、利害関係人が審理に参加することができる。こうして審理に参加した者を参加人という。